第1章 プロローグ
「どうしよう、バス停まっちゃったよ」
「運転手さん、ちょっと…」
「気絶してやがる」
「しっかりして、運転手さん!」
参加者の女性が運転手の肩を揺さぶりますが、運転手は起きません。
「あー、降りるかー。どいてくれ」
「はあ…」
ヴァルカナが窓際の席だったため、こはるんは一旦席を立ち、彼を通しました。ヴァルカナは先にバスを降ります。
「あたしも降りよう」
「私も行きます」
マイマイも熱帯夜とバスを降りるため、こはるんは背中をどけました。そして、彼女もついて行きます。
ヴァルカナとマイマイたちがバスを降りたからか、ツアー参加者もみんなバスから降りて行きました。
すると、山の中の場所と異なり、ツアー参加者みんなは、知らない村の中に到着していたのです。
「こはるんさん、ここって納鳴村ですよね」
マイマイが小さい声で言いました。
「そうみたいだけど」
こはるんは頷いたものの不安いっぱいの表情です。
「初めて来たときとちがうな」
と、前回のツアーのときに来た場所の風景を覚えていたヴァルカナが言いました。
「どういうことだー、前回とちがう場所って」
鳥安が両手を頭の後ろにやって周りを見渡します。