第1章 水無月大和と秋田刑事
「まろんちゃんかぁ」
「でも、まろんさんには名古屋くんがいます。まろんさんのことは諦めました」
水無月は日下部まろんと名古屋稚空の思い浮かべながら言いました。
「今はじゃあどうなの?」
「います、好きな人」
「そうなんだ。誰誰?」
「……すみません、それは今教えられません」
水無月は少し考えたあと、秋田刑事の質問にそう答えます。
「いきなり告白だとダメだから、まずはデートかな」
「デート!? いえ、僕が悩んでいるのは他にあって」
「あれ、好きな人のことじゃないの?」
「それもありますが……」
「じゃあ、何さ」
「はははは…、僕にアタックしてくる女の子がいて困っています」
再びだんだん迫ってきた秋田刑事に苦笑しながら、水無月は悩み事を話しました。
「ふーん、そうなんだ」
「はい。これまで僕は誰かに片思いすることがあっても、反対に片思いされるとどうしたらいいのか」
「フッたらいいじゃない、そんなの」
あっさり言った秋田刑事にポカンとなった水無月でしたが、困った表情に戻ります。
「そうしようと思いました。そうしようと思ったのですが、好きな人は僕とその子が付き合うの後押ししてて……」