第1章 水無月大和と秋田刑事
秋空の下、公園のベンチに座って通りゆく人々を眺めていた青少年がいました。桃栗高校に通う高校1年生のクラス委員長の水無月大和です。
水無月がため息をついていると、派手な服を着た金髪の刑事に声を掛けられます。秋田刑事です。
「おや、君は、東大寺警部の娘さんと同級生の」
「あ、秋田刑事。はい、僕は水無月大和です」
「大和くんね。元気ないじゃないか。お、すみませーん」
秋田刑事が焼き芋屋の軽トラックを発見したか、おじさんに焼き芋を2つ注文していました。彼は、買った焼き芋を水無月に渡します。
「すみません、ありがとうございます。あつっ、美味しいです」
水無月は焼き芋をフーフー吹きながら口にしました。
「こんな寒いところにずっといると風邪引くぞ」
「そうですね。でも、焼き芋を食べていたら温まりました」
「何か学校で悩み事?」
「そうですね。学校に好きな人がいて」
「良いじゃない好きな人。もしかして、あの子かい?東大寺警部の娘さんの親友の」
「まろんさんですね。はい」
「おおー!」
「はははは……」
瞳を輝かせながらだんだん迫ってきている秋田刑事に水無月は苦笑します。