第4章 個性把握テスト、戦闘訓練
「個性把握…テストぉ⁈」
「入学式は⁉︎ガイダンスは⁉︎」
「ヒーローになるならそんな悠長な行事出てる時間ないよーー。雄英は自由な校風が売り文句。そしてそれは先生側もまた然り。」
動揺のあまり緑谷は、縋るようにエマを見た。無機質なブルーの瞳と目が合ったが、整った顔で微笑まれて撃沈した。
「爆豪、中学の時ソフトボール投げ何mだった」
「67m」
「じゃあ”個性”を使ってやってみろ。円から出なきゃ何してもいい。早よ。思いっきりな」
相澤先生からボールを受け取った、緑谷の恐怖の2トップーー爆豪が白円の中に立った。
「んじゃまあ…ーー死ねぇ!!!」
物騒な台詞と共に、ボンッと爆風に乗ってボールが飛び出す。暫くしてトンと地面に落ちた音がした。
「まず自分の”最大限”を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段」
そう言いながら相澤先生が見せた測定器には、705.2mの文字。生徒たちのボルテージは最高潮だ。
「なんだこれ‼︎すげー面白そう!」
「705mってマジかよ」
「”個性”思いっきり使えるんだ‼︎さすがヒーロー科‼︎」
個性解禁に盛り上がる生徒たちは、相澤先生の纏う空気が変わったことに気付いていなかったが、エマはじっと担任を見つめていた。
「面白そう……か。ヒーローになるための三年間、そんな腹積もりで過ごす気でいるのかい?」
沸き立っていた生徒たちも、この妙な雰囲気を察知したようだ。相澤先生は怒ってるように見えた。
「トータル成績最下位の者は見込みなしと判断し、除籍処分としよう」
「はああ⁉︎」と生徒らから抗議の声が上がるが、この担任は意に介さない。
「生徒の如何は先生の自由。ようこそこれがーー雄英高校ヒーロー科だ」
「最下位除籍って…!入学初日ですよ!?いや初日じゃなくても…理不尽すぎる!!」
「自然災害…大事故…身勝手な敵たち…いつどこから来るか分からない厄災。日本は理不尽にまみれている。そういう理不尽を覆していくのがヒーロー。」
そう言い、挑戦的に笑った相澤先生は続けた。
「これから三年間、雄英は全力で君たちに、苦難を与え続けるーー”Plus Ultra”、全力で乗り越えて来い」
エマはこの時、”敵っぽい見た目ヒーローランキング”でこの担任を探そうと決心していた。