第3章 入学
それは春ーー。
「出久、ティッシュ持った⁈」
「うん」
「ハンカチも⁈ハンカチは⁈ケチーフ!」
「うん‼︎」
僕ーー緑谷出久は、No.1ヒーロー オールマイトに認められ、個性『ワン・フォー・オール』を譲渡された。
しかし、力を受け継ぐというのはそう簡単なものではなく、肉体ーー器に合わない力は、雄英高校の一般入試で初めて発動した力は四肢をボロボロにした。
唯一、個性で倒すことが出来たヴィランを模したロボットは0Pで、合格は無理かと思われたが、審査制の救助Pにより、雄英合格を果たすことができたのだったーーー。閑話休題、
心配のあまり、当の本人すら置いてけぼりで慌てる母、緑谷引子に「時間がないんだ、急がないと…」と出ようとすると、名前を呼ばれ引き留められる。
「出久、超カッコイイよ」
「…!、行ってきます!」
それは、高校生活の始まり‼︎
ーーー
「1-A…1-A…、広すぎる…」
毎年300を超える倍率の正体…一般入試の定員は36人しかない。
そこに推薦入試枠4名を加え、ひとクラスあたり20人。今年はそれに特別推薦枠1名が加わり、緑谷出久が所属する1-A組は21人となっている。
そんな厳しい受験で選ばれた人たち…個性を授かったとはいえ、発動の度に深手を負うままなので酷く不安に駆られる。
「あった…ドアでか…」
1-Aと書かれたその黒色のドアは、身長の何倍もある。
きっと個性社会…巨体だったりで入りづらいひと用のバリアフリーだ。
「怖い人たち…クラス違うとありがたい…」
脳裏には、ずっと自分を目の敵にしていた幼馴染と、入試で酷く威圧された眼鏡の少年が浮かぶ。
祈るような気持ちでドアを開けるとーーー
「机に足を掛けるな!雄英の先輩方や机の製作者方に申し訳ないと思わないか⁈」
「思わねーよ、てめーどこ中だよ、端役が!」
2 ト ッ プ !
これからの学校生活を思い、酷く胃がキリキリした。