第4章 嫉妬と仇討ち
「ふんっ、言いたい事はそれだけか?」
信長様が不敵な笑みを浮かべ鼻で笑うと、それを合図の様に男は刀を構えて飛びかかって来た。
「うおー、娘の仇っ!信長死ね———-っ!」
「紗彩、下がっていろ」
そう言うと、ガチっ!と信長様が愉しげに刀の柄に手を掛けた。
「だ、だめ——っ!」
もうこれ以上自分のせいで人が死ぬのは耐えられなくて、信長様の前に出て信長様の手を封じるために思いっきりその腕に抱きついた。
ザンッ!!
「…っ…ぁっ……!」
背中に熱い痛みが走った。
「紗彩 っ!」
信長様の手が倒れていく私の体を支える。
「おのれ貴様…」
信長様の手が再び柄に掛かるのが分かった。
「だめ、信長様…」
意識が朦朧とする中、私はその手を掴んで必死に止める。
「紗彩離せっ!」
「だめ、これ以上殺さないで…お願いします。どうか……全部私が悪いんです…私のせいで人が死ぬのは見たくありませ………」
「紗彩っ!」
(ダメ…意識…途切れないで……この人が殺されてしまう………)
だけどもう体は言うことを聞かない。
背中が焼けるように痛い……
争いの世って、こういう事?
私は、人を不幸に陥れてる?
考えなきゃいけないのに、斬られた背中が痛くて………
私はここで…死ぬのかな…?
もう…それで良いから、死ぬのは私だけにして下さい…
あの男の人の命はどうか…
お願いします………
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