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おとぎ話の続きを聞かせて【イケメン戦国】

第10章 真っ白なページ



(あ、今日も信長様は忙しそう)

中庭の見える縁側に出て着物を仕立てていると、向かいの廊下を歩いて行く信長様の姿を発見した。


颯爽と歩く姿は凛々しくてカッコいい。
頭を下げて信長様が通り過ぎるのを待つ女中達も、通り過ぎた信長様を目で追っている。

(学校にも目立つ先輩とかいたけどそんな感じかな?……でも制服姿の信長様はちょっと想像できないけど…)

そんなことを考えながらその凛々しい姿を追っていると、

「なぁに見てんだ?」

政宗の揶揄う声が背後から聞こえて来た。

「政宗っ!」

「そんなに見つめてると信長様に穴が開いちまうぞ?」

膳を片手に持つ政宗が、からかいながら部屋の中へと入って来る。

「ほら、粥を持って来た」

「あっ、ありがとう。ごめんねわざわざ」

「気にすんな。どこで食べる?」

「このままここでいただこうかな」

「分かった」

私の横にお粥の乗った膳が置かれた。


「また倒れたのか?」

私の近くに腰を下ろした政宗は心配そうに問いかける。

「あ、うん。でも今は全然何ともないんだよ。ただここ最近よく眩暈がして倒れちゃうみたいで…」

「しっかり食べないから倒れるんだ。ほら、熱いうちに食え」

土鍋の蓋を開けて、政宗はその蓋に湯気の立つお粥を入れて私に渡してくれた。

「ありがとう。いただきます」

信長様の母上様の件から数週間が経ち、私はあの日以来、頻繁に眩暈がして倒れるようになった。

「ふふ、美味しい。玉子入りなんて贅沢だね」

「お前が残さず食べる物を出すのが俺の使命だからな」

「ありがとう。でもごめんね、政宗だって忙しいのに余計な手間をかけさせて」

この時代に来て随分と痩せた事もあり、医師からは血が足りなくて目眩を起こしているからなるべく精のつく物を食べろと言われていた。


「気にするな。それに、お前の元気がないと信長様も仕事に集中できないだろうしな」

「っ…そんな事はないよ」

(心配はしてくださるだろうけど、それは言い過ぎだと思う)

「いや、ある。さっきも厨まで来てこれを食べさせろとか、これは苦手だから入れるなとか、お前の食べ物の確認に来てたからな」

「そ、そうなんだ」

(さっき信長様の姿を見たのって、厨からの帰りって事かな?)

そう思うと、頬の辺りがじわじわと熱くなって来た。



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