第2章 その感情は
クリームの甘みが口に広がった。
「美味いな」
「よかった」
一虎がフォークを置いて、体ごとこちらを向いた。
「が食べさせてくんない?」
私は言われるがまま、一虎にケーキを乗せたフォークを差し出した。
「うん、甘い」
「ふふっ、クリーム付いてる」
「ん……ここ?」
大きく切り過ぎたのか、口の端に付いたクリームを舌で探す一虎の仕草にドキドキしながら、近づく。
舌で一虎の口の端に付いたクリームを舐め取る。
これは、私なりの求愛行動だ。
固まる一虎の目と、私の目が合う。
「……好きだよ。俺と付き合って下さい」
「私も、好き……。彼女にして下さい」
頬を包まれ、甘えるみたいにその手に頬を擦り付けた。
「やった、俺のだ……」
「うん」
優しく抱きしめられると、心まで温かくなる。
背中に手を回して抱き返すと、一虎の手が妙な動きをする。
「さっそくセクハラですか?」
「だって、エロい事すんの、ずっと我慢してたんだし」
「でも、あまりの急発進は……困ります……」
体が離れ、一虎の広げて伸ばされていた足に、囲まれるように体が再び密着する。
凄く、顔が近い。
掛けっぱなしだったメガネが外され、髪が解かれる。
「キス、したい……していい?」
「うん……聞かなくても、いいよ」
触れたいのは、私も一緒だから。
ゆっくり唇が触れて、そこが心臓になったみたいに脈打ち、熱くて、蕩けそうだ。
一度離れた唇が再び触れた後、ねっとりしたキスが繰り返されて、舌が入って来て絡まる頃には、息も上がって興奮が顕になる。
「はぁ……どうしよ……止まんねぇ……」
「んっ……はぁっ、はっ……ふっ、ぅ……ぁ……」
唇が痺れて、キスだけで体の全部が熱くて、たまらなくなる。
一虎の肩口にあった手で、一虎の制服を握り締めて縋り付く。
「ちょっとだけ……触って、い?」
「ん……」
荒い息遣いが交わって、お互いの目を見つめたまま、目を閉じる事なく唇を貪り合う。
啄むように唇を挟んで咥えたり、舌で舐め上げて吸ったりと、ありとあらゆるキスに酔いしれながら、制服の上から体がまさぐられる。
「んっ……あっ……」
「……すげぇ可愛い……」