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ゆりかごに甘噛み (R18)

第1章 束ねて 【不死川実弥】



 それにしてもいったいどのタイミングで仕込まれたのか。確かに今日履いているスカートには少し大きめのポケットがついているけれど。
 去り際に言われなければ、ずっと気づかなかったかもしれない。

 実弥ははじめからスペアキーを渡すつもりでいたのだろうか···と考える。

 スペアキーはあくまでも予備の鍵。持ち歩くものではない。寧々も自分の家のスペアキーは失くさないようにクローゼットの中の小物入れにしまってあるくらいだ。

 もしかして今日、これを渡すために寝に来たのかな。

 さすがにそれは都合よく解釈しすぎかな。



 ( 実弥くん、本当に眠そうだったし、ぐっすり寝てたし )



 考えたところで想像でしかない。

 本当のことは、実弥しか知らない。

 ただ、寧々に預けてもいいのだと、保管場所からスペアキーを取り出す実弥の姿を想像しただけで胸が震えた。

 好きや愛しているの言葉ももちろんとても嬉しいけれど、


 【信頼している】


 それを形として示されたような気がして目頭が熱くなる。



「よし、午後も頑張ろう···!」



 すん、と鼻をすすり上げ、気合いを入れてのびをする。

 通勤バッグから自分のキーケースを取り出して、宝物を閉じ込めるように、大切にそれを収めた。

 今日のために用意してある実弥へのプレゼントが覗く。
 
 ショップ袋の持ち手に結ばれた、シルバーのリボン。

 プレゼントの中身は本革の手帳カバーだ。



 ( 喜んで、くれるといいな )



 お祝いできる夜を待ち遠しく思いながら、寧々はキーケースをバッグの中にそっとしまった。













                         
              * F i n *




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