第3章 *・゚・ゆりかごに甘噛み *・゚*【真島】
【Here's where it all starts】
やっぱり真島はなにを考えているのかわからない男だ。
水を飲み干し、しばらく紙切れとにらめっこする。
行為の最中、真島はなにやら主義主張を口にしていた気がするのだが、肝心な内容は思い出せずにいた。ただ、この紙切れに書かれた一言と、「俺はお前たちの味方だ」そんなことを言われたのは覚えている。
映像で見たことがあるだけの構えを真似て拳銃を持ち、わたしは窓ガラスに向けて腕を伸ばした。
真島が指で抉じ開けたままのブラインド。その先に光は見えない。
どれだけわたしの時間がワンルームの中で止まっていても、外の世界は無関心な顔をしながら動き続けてゆくのだろう。
人知れず消えゆく者の上に成り立つ幸福の中で。
───さあ、ここからが始まりだ。
真島の声がよみがえり、わたしは引き金に力を加えた。
* F i n *