第1章 入試試験
「大丈夫?!今すぐに助けます…!」
??「あ、ありがとう!」
彼が巨大仮想敵に立ち向かっている間にと、私は動けない女の子の元へ急ぐ。
身体に触れて瓦礫の少ない道路へと移動させると派手な音が鳴り響く。
彼の放った一撃は巨大仮想敵の顔面に直撃して、その衝撃から敵はバランスを崩して倒れた。
大きな揺れとみんなが弱そうだと思い込んでいた彼が倒したとあって呆気に取られてる人が殆どだった。
遥か高い上空で徐々に降下していく少年の姿を誰もが見ている中。
私は気づいてしまった。
彼が態勢を立て直す様子もなく落ちていくことに。
「……ねぇ、あの子もしかして着地出来ないんじゃ…」
??「えっ!?ど、どうしよう!」
「あの!貴女は浮遊させることが出来るんですよね」
??「せ、正確には違うけど…」
「彼に個性使えませんか?多分あのままだと落ちて死んじゃう!」
同じ受験者の個性は分からないけど、この子のは何度か仮想敵を探している最中に見た。
どういう原理なのかも、発動条件もわからないけど物を浮かせることが出来るはず。
「私の個性で貴女を彼の近くまで移動させます!彼を助けてあげて!!」
??「うん…!わかった!!」
あの落ちる速さじゃ、落ちている最中に近づけさせることは出来ない。
女の子の力を信じて、彼の落下地点近くに移動させる。
それが今考えられる唯一の方法だった。
これに乗って近くまで行くという彼女の考えを汲んで、仮想敵の部品の上に登るのを見届けて私は彼女の手を握り、片手は部品に添えて移動先を指定する。
ここまで大きな物と、それに加えて人を移動させたことはないけど今はそんなこと言っていられない。
私がやらないと、落ちていく少年がどうなってしまうかなんてわかっている。
「すぅ…はぁー…。よし、いきます」
??「いつでも!!」
意識を集中させ、個性を発動させる。
その瞬間、手に触れていた部品と女の子は姿を消した。
消えた女の子は無事に指定場所へと移動していて、彼女の個性で部品ごと男の子の元まで飛んでいった……はず。
私の目は霞んでいて、よく見えなかったけれど。
*