第1章 入試試験
移動した姿は見えていたけれど、私の限界を超えた大きさのものを瞬間移動させたせいで目が霞む。
??「キミ、大丈夫か!?」
両目を押さえてふらつく私を誰かが支えてくれた。
さっきまで個性を使っていたこともあって負担が大きくて目の奥が痛みながらも助けてくれた人に小さく頷いた。
『終了~~~!!!!』
「おわ…た?彼は、どうなったんですか…?」
??「あの少年は無事だ、安心してくれ」
「そっか…良かった」
試験終了の合図が響くと気が抜けたみたいで身体にドッと疲れがやってくる。
そのあとのことは目が霞んでいたせいもあるのか、あまりよく覚えていない。
私が雄英を出たのは霞んだ目が少し落ち着いた頃だった。
電車に揺られ暫くしたら最寄り駅に到着。
見慣れた街並みにホッとすると家までの道を歩いていく。
霞んだのがマシになったとはいえ、今の私は遠くで光るものさえなんなのかわからないほどだ。
だから気づかなかった。
向かいから曲がって来る人の姿に。
「わっ…!」
どんっと結構いきおいよくぶつかってしまった。
視界がままならないのと疲労が相まって受け身も反射的に手をつくことすら出来ず、終わったと思った。
試験が終わって早々に大怪我して入学式に出られませんでした、なんて笑えない。
きっと私だけ出遅れて、クラスメイトは既に友達作ってグループなんてものが出来上がっちゃうんだ。
そこに入れず"また"一人での高校生活がスタート。
なんて倒れそうになる一瞬で考えた。
だけど構えていた衝撃はいくら待ってもやって来なくて。
きつく閉じていた目を開けると、ぼやけた視界でもわかってしまうほどの赤と白の髪。
その人に腰を支えられ、なんとか倒れずに済んだらしい。
??「なにやってんだよ。ちゃんと前見とけ」
「と、轟くん!?」
私の現在のクラスメイトである轟くん。
プロヒーロー、エンデヴァーの息子。
「ごめん…。個性使いすぎてまだ目が霞んでて」
轟「今日一般入試だったか。……"また"ぶつかるなよ、じゃあもう行く」
「うん、助けてくれて…"ありがとう"」
そう言って轟くんは私から手を離して立ち去っていく。
"また"と"ありがとう"に色んな意味を込めて。
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