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【jj短編】憩いの”一瞬”を君と。

第1章 歳上のズルさと、歳下の特権【伏黒 恵】


「ひゃー煤だらけ。きったな」
「結構廃れてますね。見た感じ綺麗めだと思ってたんですけど」
「なんかホームレスとか居そうな感じ」
「痕跡らしきものは無かったですけど」
「ごめん勝手なイメージ」
「はあ…」

自由奔放。型破り。
猫はこの先輩の方が正直似合っている。
恵はガラスの破片を踏みながら思った。

「恵」
「なんですか」
「昨日、なんて言おうとしたの?」

大きめな破片が割れて、耳障りな音が響いた。

「…いや、ここで言うことじゃないですよ」
「そうかな?」
「そうですよ」
「そうとも限らないんじゃない?」

何か含みのあるような言い草。
何か笑っているような言い草。

「どういう事です?」
「んー?」

腰に短剣を携えたは、笑みを浮かべていた。

その時、前方から呪力の塊の気配がした。
禍々しいソレはグチュグチュと音を立てながら、確実にこちらへ向かっている。

だが、の歩みは止まらない。
恵が臨戦態勢で警戒するも、は普段と変わらい口調で言葉を続けた。


「例えばさ、今日、私が死ぬとしたら?」


「…は?」


「今、この瞬間、この場で」



暗闇から猛スピードで突っ込んでくる呪霊。
咄嗟に玉犬を繰り出したが、目の前に肉塊が飛び散る。


刃が光る短剣を振りかざし、身を翻して狩る姿は、とても妖艶だった。


「なーんて、」


「オ、オオオオオォォォォ…?????」


一瞬にして切断された胴。
床に散らばり、それぞれ煙を上げて朽ちて消えていく。
まるで彼女に気付かず突進してきたヤツは、何も成し遂げず祓われた。

は”呪力操作”の技術がピカイチで、呪術界で密かに騒がれている。
パワーも術式も特化したものでは無いが、操作の緩急が鋭い武器。

その力は、存在すらも一瞬で消えてしまう。

ちゃらんぽらん
  普段   の五条先生ですら、(不注意で、だったとしても)あまり気付くことが出来ない。

普段と戦闘時、の雰囲気、表情は全く変わらない。
「あの真希さん」ですら。



「先輩」

「んー何」
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