第8章 新たな任務
夢主side
『うーん、やっぱ派手・・・』
今日から本格的にキャバクラへの潜入が始まる。
着飾った自身の姿を眺めながらこれがキャバ嬢か・・・とキラキラとした派手な赤いドレスにヘアセット、ある意味年相応の若々しさを感じた。
普段のハニートラップは基本、大人っぽい服装や清楚な格好が望ましい為、キャバ嬢のような煌びやかなドレスはあまり着ない。
胸元と太腿は上手く隠してはいるが多少見えてしまう為、髪型は巻き巻きのハーフアップにしてもらい誤魔化すことにした。
コン、コン____
ゼ「おーい、準備できた?・・・っと、おお。まんまキャバ嬢やん」
『だから、何の為のノック?』
いきなり入ってきた声の主の方を向くと、そこには黒服姿のゼンがいた。
ゼ「いいじゃん、さっすがウチの紅一点!っにしてもお前ほんと目立つなぁ〜もっと地味な顔できないワケ?」
『めちゃくちゃな事いわないで、生まれ持った顔だもの』
いくらノーマルなキャバ嬢の見た目にしようとしても、我ながらこの恵まれた顔立ちのせいでどうしても目立つ部分はあると思う。
何が嫌って、こういうお店の同性絡みがとても苦手だ。男まみれの組織でほとんど単独任務で済んでいる私にとって、キャストと過ごしながら監視をしなければならないのは割と苦痛だった。
まぁ、雰囲気は完璧にキャストに馴染めるだろうし自分の仕事さえこなせばOKだ。余計な事はしなくていい。
『普通に新人設定でいいの?ウブな演技は好きじゃないんだけど』
ゼ「おう、なんならなるべく指名されるな!ターゲットの組織が特定できるまでどの男も警戒しろ」
指名されないように働くキャバ嬢なんてかつていたのだろうか。どんな指示?
まぁ面倒事にはなるべく巻き込まれたくないし、私はとりあえず内部の情報を探りさえすれば目的の暗殺は梵天側がやってくれる。
___まもなく、出勤の時間。
『さて、今回も頑張りますか』
気持ちを切り替えて私達はその店へと向かった。
久しぶりの刺激に、多少なりともワクワクしていた。