第8章 新たな任務
夢主side
夜、1人ベッドの上でただただ考える。
こんな恋愛は幸せになれないのに。報われるのだろうか。
同じ反社の相手。いつ死ぬか分からない世界。
そして、自分に取り巻く闇。逃れられない人生。
『・・・はぁ』
春千夜から見る私はどんな女だろうか。身体だけの相手?
少しは、気になってくれてないかなぁなんて。
大抵の男ならここまでするのは脈アリだと思うけれど、彼は違う。
今までの男より断トツで女慣れしているしモテるだろう。
私みたいな容姿の女も別に珍しくないんじゃないか。
会えば会うほどに苦しさが募る。でも、片想いをする自分はなんだか嫌いじゃなかった。
胸の痛みを忘れるように、ゆっくり眠りについた。
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no side
深夜3時を回り、どこも寝静まった時間。
「オイ、灰谷」
蘭「・・・・何、三途かよ」
仕事を終えた幹部数人がアジトへと戻ってきた頃。
帰路に着こうとする蘭を、三途は睨み付ける。
「テメェ、大蛇んとこの女に手ェ出すつもりじゃねぇだろうな」
蘭「あ?・・・あぁ、チャンのこと?」
蘭はニヤニヤとしながら三途の方に向き直った。
蘭「へぇ〜、まさかあれオマエの女?逆に気になっちゃうけどねぇ」
「違ぇわボケ、大蛇はテメェらみたいなのが手出していい相手じゃねえって言ってんだよ」
灰谷兄弟もなかなかの女癖の悪さ。用意された女を道具のように扱い飽きるまで抱き潰した後に捨てるのが彼等だ。
蘭「えーせっかくイイ女なのになァ。あぁ、オマエが最近ヤクやってないのも関係あんの?」
「るせぇな死ね、黙ってその辺の女でも喰ってろ」
常に険悪ムードって訳でもない2人だが、気が合うようなタイプでもない。ただ同じ梵天に所属しているだけ。
蘭「女なんて抱けりゃ誰でもいいのは、オマエも同じだろ?」
煽るような蘭を無視して何も言わずそのまま横を通り過ぎた。
他の幹部からすれば三途だって女癖の悪い男なのは事実。
という女が一体何者なのかと、蘭も興味を持ちながらそれぞれ自室へと戻っていった__