第1章 組織の女
「こちらで到着になります」
ボーッと外を眺めていた所ある場所で止まりドライバーから声が掛かる。梵天のアジトへと到着したようだ。どうやら大きなビルの最上階を拠点にしている模様。
『・・・ふぅん。割と良い場所にいるんだ』
部屋の場所まで指定されているのでどうやら自分達でここまで来いとのこと。
(・・・迎えすら寄越さないとはバカにされている気分だ。これだから犯罪組織は・・・)
「丁重なお出迎えじゃねぇかぁ。緊張しないようにって配慮か?」
『なわけないでしょ。私達相手にそんな歓迎する程の価値すら今はないって意思表示。早速だけど気分が悪いわ』
達は不満を零しながらもこれが社会なのだと実感する。梵天からすればどの組織だって目下の人間達なのだ。
『・・・でも、それもそれで楽しくなってきた。行きましょうか』
ただ車を降りてくる美しい女、周りはそれだけでも目線を向けた。彼女の容姿は色んな人の目を惹き付けるくらいに整っている。勿論、仕事仲間だって例外ではないのだ。
___最上階へと歩みを進める2人。広いエレベーターの中では多少なりとも緊張感が漂っている。
ゼ「どうよ、もうすぐ梵天とこんにちはーだけど。逃げるなら今だぜ?」
『アンタこそ足でまといにならないでよね?怖くて喋れなくなったら私が変わってあげるから安心してね』
口喧嘩をしながら到着した最上階。開くと正面に大きな部屋。
この奥に、彼等がいる。
『・・・ここかな。開けて』
約束の時間ピッタリ。ついに梵天とのご対面。
そして、彼女の出会いはここから全てが始まった。