第6章 日常の変化(※)
夢主side
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『でね!すっごくばかにしてくるの。私みたいなイイ女、普通いないよね?』
「もちろんですよ!様より美しい女性なんていません!」
『だよね!?だよねぇ!』
ある日、とある任務の支度をしていた夕方。今日もヘアメイクの彼女に愚痴を聞いてもらっているのだ。
春千夜という男についてあーだったこーだったと話し続けて1時間は経過している。
『ありえないよね。私に対してそんな事いう人見たことないもの!まぁ別にどうでもいいけどさぁ』
「・・・・・・ふふっ。」
プンプンと怒る私を見てなぜか笑う彼女。
『・・・なんで笑ったの』
「いえ、すみません。なんだか可愛らしいなぁと。様はその方が気になって仕方ないんですね」
『・・・はぁっ!・・・そんなんじゃない!ただ珍しい奴だったから・・・!』
図星といえば図星だ。人間というものは自分の本心を当てられるとムキになってしまうものである。
「でも様の話を聞いていると、気になった異性が振り向いてくれない片想いの女の子みたいなんですよ」
『だから、好きじゃない!』
意地っ張りなのは直したい所だが、好きじゃないのは事実だ。春千夜に関してはまるで珍獣を見ているかのような好奇心。
実はあれから既に3週間は経っていて、久しぶりの任務。暗殺任務とは1回の見返りがでかい分、そんな頻繁にあるものではない。
大体ちゃんとした仕事に向かうのなんて月に2~3回だ。
長年こんな仕事をしていると身体も刺激を求めるからワクワクしている。といっても、今日は暗殺の依頼では無い。
今日はとあるクラブに現れるターゲットへの接待的なものを頼まれていた。内容の割には報酬もいい。
酒も好きだし男にチヤホヤされるのも気分はいいので今日の仕事は楽しみなのである。
いつも通りにヘアメイクをする。今日はうなじと背中が見えるようにアップにしてもらった。
後ろが大きく開いた黒のドレス。デコルテにはラメが散りばめられておりライトに照らされると綺麗に輝く。
『よ〜し、飲むぞ〜〜・・・仕事だけど』