第3章 パーティー
険悪な雰囲気のままついに会場が見えてきた。
三途ももピリピリしており、この二人はどこよりも混ぜてはいけない組み合わせだったのかもしれない。
そんな時にかかってくる一通の電話。ゼンだ。
『 ・・・はい、まだ車 』
《 おーっす。一応報告、俺からはターゲットの存在は確認済み。今回のSPは二人だ。パーティーが始まってからの接触が無難、部屋諸々は全て手配済み。メールに詳細送ってあるから確認しとけよ 》
『 わかった。相手はクスリの売人みたいだし適当に解毒剤でも用意しといて。死にはしないと思うけど』
《 はぁ、まーた身体張んの?ほどほどにしとけよその根性も 》
『 うるさい。・・・・・・じゃあ、また後でね 』
そういって電話を切った。準備は完璧に整っている。あとはいつも通りにターゲットを連れ込むだけだ。厄介なのはすぐに殺せない点のみ。
「 ・・・・・・お前、毒盛られるって予想しといて引っかかるような馬鹿なワケ?」
やり取りを聞いていた三途が怪訝な顔をしてを見た。解毒剤を用意してほしいという話の事だろう。
普通はパーティーや食事会、飲みの席などでは特に毒に注意しながら行動するもの。
三途からすればまるで彼女が毒を盛られにいく前提のように聞こえたのだ。
『 ・・・・・・引っかかるまでが私の仕事。薬を飲まされているという前提が必要な場合はそれが分かった上で口にするのよ 』
彼女もプロの暗殺者、命懸けの仕事をこなし数々の男を誘惑して手にかけてきた。身を犠牲にする事だって厭わないような女である。
そんな彼女を一瞥した後、三途はまた外に目線を戻した。
そう、これは遊びでは無い。
私達のような犯罪者に安心できる未来などないのだから。