第11章 組織
抱えてる資料がなんだかすごく重く感じて廊下を走るように歩いていたが、私は立ち止まりさっきのことを思い出した。
『夏目に託す』
たったそれだけのメールと一緒に添付されていた資料。
それを残して小井崎さんはビルから落ちて死んだ。
自殺するような人じゃない。
事件解決を不都合に思ってる人に消されたんだと思ってる。
『託す』と言われたんだ。どんなに危険でも真実を明らかにしたい。
「小井崎さん…。」
『おれさー、万年警部補止まりだわ。まぁ、出世に興味ねぇーんだけどよ?かみさんと子供に“警部”って言わせて見てぇんだよ。』
『じゃあ、試験うけて大きな事件で功績上げないとですね。』
『試験かわりにうけてくれよぉ、夏目ーー。』
『何バカなこと言ってんですか。』
『もう定年まで警部補かなー。』
『あと10年もありますよ。』
のらりのらりとしてる癖に、人一倍優しくて、人情味があって、家族を大切にしてる人。
でも、何か事件があるといつも真剣で、真っ直ぐだった。
そんな人が自殺なんてするわけがない。
「……っ。」
泣くもんか。
彼の葬儀で棺に縋り付く奥さんと娘さんを見た時に決めたんだ。
解決するまで絶対に泣かない。
ブーっとズボンの携帯が鳴り、私はスマホを取り出した。
『ポスターのお礼がしたいので、今日の仕事終わりによかったらお店に来てください。 安室』
ーー…安室さん?
さっき降谷さんにあったのに?
降谷さんは無駄なことはしない。何かあるのだろう。
警視庁では話せないので、外でも念押しで捜査するなと言いたいのか。
外の動きも監視したいのか。
降谷さんも上の命令で動く人なのだとわかったんだ。
隠れて捜査を続けるためには、いうことを聞くふりをしないとーー…。
『わかりました。早めにいきます。』
と、それだけ送っておいた。