第11章 組織
更衣室でボブのウィッグをつけ、メガネをかけ、ため息をひとつ。
今、明るい安室さんや梓さんと話す気分じゃない。
でも、パソコンに向かって集中して仕事ができるかと言われたら、それも難しそうだ。
むしろぼーっとカフェオレとケーキでも食べてた方が楽かもしれない。
私はカバンを肩にかけ、ポアロに向かって警視庁を後にした。
「いらっしゃいませー、あっ!めぐみさん!」
机を拭きながら笑顔で迎えてくれたのは梓さん。
安室さんはカウンターの中で白いカップを布巾で拭いていた。
「よかったです、はい!ここ座ってください!」
「ありがとうございます、梓さん。」
「もう夕方ですけど、何か軽食にします?」
今の時間からケーキ食べたらたしかにご飯食べられなくなっちゃうかな。
「んー、でもお腹も空いてなくて。」
案内されたカウンターに座ると、目の前に安室さんが来てメニューを見せてくれた。
「じゃあ、サンドイッチくらいなら食べられますか?」
さっき冷たい目で見下ろしていた怖い目じゃない優しい目の安室さん。それさえもなんだが嫌だった。
「じゃあ…ミックスサン…」
「ハムサンドおすすめです。」
「…あ、じゃあハムサンドで。」
にっこり笑う安室さんはハムサンドを食えと言わんばかりで、そうせざるを得なかった。
「ハムサンド、最近安室さんが改良してくれてすっごく美味しくなったんですよー。リピーターも凄くて。」
「へぇ。」
改良って…。
降谷さんって身体何個あるんだろ。
カウンター内で手際よく手を動かす安室さんを見ながらそんなことを考えた。
「めぐみさん、ポスターみました!あれを1日で作っちゃうなんて凄いです!」
「よかった。」
「商店街の印刷屋さんに持っていって今たくさん印刷してもらってるんです!出来上がりが楽しみで!」
両手を合わせて嬉しそうにしてる梓さんに私はなんだが安心して笑ってしまった。