第11章 組織
降谷さんに必要な書類の入ったファイルを取り出しページをめくっていく。
「高橋も何か必要なの?」
「あぁ、張り込んでたホシの関係者の事件を調べたくてね。」
「見せて。」
高橋の手元にあった資料に目を通し、私は資料室の奥の方を指差した。
「奥から3番目下から2段目のファイル。あの辺にあったはず。」
「…マジかよ。」
「この階の資料室は私が公安にくる前に並べ直したから。」
「それを覚えてんのがすげーよ。」
「まぁね。もっと褒めていいよ。」
「降谷さんが重宝するわけだ。」
「…そう?」
「してるだろ。周りから歩く資料室って言われてるぞ。」
…歩く資料室。
「褒めてる?それ。」
降谷さんへの書類を取り、私はファイルをしまうと高橋を睨みつけた。
「褒めてる褒めてる。そういや昔から資料室いるもんなめぐみ。」
「ん?まぁそうだね。役に立つから。」
「公安にくる前は刑事だろ?」
「ちょっとだけだったけど。女性は最初の一年は交通部だよ。」
「ふーん。そういやさっき見てて思ったんだけど、降谷さんと何かあった?」
「…は?」
私は顔をしかめた。
「いや、降谷さんがなんか機嫌良さそうだったから。」
「へぇ。全然わかんない。」
安室さんっぽいなとは思ったけれど、それは機嫌がいいからではなく、ポアロの案件があったからだ。
「あれは絶対何かあった。女だな。」
「…しらない。じゃあ、私はこの資料降谷さんに渡すから。」
「おー、ありがとな。」
私は動揺を高橋にバレないよう、さっさと資料室を後にした。
ーー…機嫌いいのかな。まぁ、だとしてもご飯を食べたからじゃないかな。
それよりも、歩く資料室と呼ばれていたことに驚いた。
たしかに刑事時代に資料室にこもっては先輩刑事と調べ物をしたり、指導を受けて資料を整理していったけれど。
「…あまり目立たないようにしないと。」
私は廊下でポツリと呟き、降谷さんの元へと急いだ。