第10章 肉球
毛布をかけてやると、すこしもぞっと動いたが、僕のベッドに頭を預けたまま気持ちよさそうに寝たままだった。
その横に腰をかけ、そっと髪の毛に手を伸ばした。
ハロに乱されたくしゃくしゃの髪の毛を撫でてやると、まるでハロの時と同じように撫でて欲しい箇所を擦り寄せてきた。
「くくっ。」
犬が嫌いだといいながらも、散歩に連れていき遊んでやる夏目。
ハロの面倒や新しい仕事を頼んだ時、鼻のあたりにくしゃっとシワを寄せる夏目。
「…可愛いなぁ。」
つい言葉に出してしまい僕は自分の口を押さえた。
この僕が…?まさか。
「んんっ…」
撫でるのをやめると夏目は唸り声をあげたので、僕は再び頭を撫でてやった。
気持ちよさそうに寝る夏目の顔をじっと見つめた。
頬についたハロの足跡。
そこをそっと指で撫でたが、泥の跡は消えそうにない。
「こんなところに足跡つけるやついないだろ。」
それでも公安か。
と言ってやりたい。
頬を撫で、ゆっくり僕は上半身をかがめた。
「ーー…めぐみ。」
耳元にそっと唇を落そうとしたが、夏目が何か唸り始めたため、ピタリと止め耳を傾けた。
「く…」
「く?」
「くそ…いぬ……」
僕は口元を押さえ肩を震わせた。
そんな散歩でハロは暴れたのか。
「くそ…じょー…し」
ピク。
僕は上着のポケットからハンカチを取り出すと、しかめっ面で寝言を言う夏目の頬に押し当てグリグリと拭いた。
「…っん!」
「起きろ。」
「んんっ…え…!?」
夏目と目が合い、夏目は起きあがろうとしたが頬を強くグリグリと拭き続けた。
「ふっ!?え!?いたっ!!いたたたたっ!」
「うるさい。どこで寝てるんだお前は。」