第10章 肉球
ベルモットを言われるがままホテルに送り、ため息をついた。
ポアロの仕事の後にバーボンになる。
「無性に疲れたな。」
ベルモットと食事を終わらせはしたが、彼女との会話はまだ本当に気を張らなきゃならない。
帰って早くシャワーを浴びて寝てしまいたい。
「…いや、その前にハロを外に少しだしてやりたいな。」
それを億劫だとは思わない。
そうなることはわかっていたし、それを覚悟した上で飼うと決めたのは自分だ。
部下に頼らなくてはならないのは少し悪いとは思うが。
鍵を開け、玄関を開ける。
「…ん?靴?」
女性物のスニーカー。
ーー…まだ夏目がいるのか。
こんな夜中に。
さては餌やりを忘れて今きたとかか?
キッチンを見渡しても見当たらないが、綺麗に洗われたハロのおもちゃが置いてあった。
「…?まさか一緒に散歩して遊んだのか?こんな時間に?夏目?」
返事がない。
キョロっと見渡すと寝室に繋がる扉から足だけが見えた。
ーー倒れたのか?
少し大股で寝室に入ると、僕は目を見開いた。
夏目は自分のベッドに上半身を預け、ハロは夏目の膝に頭を乗せ、2人して眠っていた。
僕と分かれた後、夕方から夜にかけて外で遊び、汚れたハロを綺麗にするのに苦戦、やっと綺麗にしておもちゃとかの片付けをして疲れて眠ってしまった。ーーと、いったところかな。
暴れたハロを押さえつけるのに乱れた髪の毛、汚れた足で顔を蹴られたのか夏目のほっぺにはハロの肉球のあとがくっきりついている。
「ふふっ。」
なんと微笑ましい光景だ。
こんな子が公安だと思うと不思議だ。
僕の笑い声に反応したハロが顔を上げこちらを見た。
「ハッハッハッ」
「しーー。」
口元に指を持っていき、ハロを静かにさせると押し入れから毛布を取り出し夏目にかけた。