第10章 肉球
エサやおもちゃなどを入れている箱のなかのリードを手にすると、犬は嬉しそうに足元で駆け回り始めた。
「わかったから。」
小さい犬は踏みそうで怖い。
トイレの道具も一式手に持ち、私はしゃがんだ。
「わふっ!」
「わっ!」
私の膝にぴょんっと飛びつき尻尾を必死に振る犬の首輪に指を引っ掛け、リードを繋げた。
「ひぇー…こわい。」
リードを離さないようぐっと握りしめ、私は降谷さんのお家を出た。
もう夜であたりは暗い。
「近くの河川敷までだからね。犬っ!」
「わふっ!」
だっと走り出した犬に引かれ私も一緒に走った。
引っ張る力は強くて、私も必死について行った。
ハッハッハッと、軽快な呼吸と足取りだ。
私も朝走り込みしたりトレーニングは欠かさずやっているので、このくらいはどうってことないが、仕事が終わった後降谷さんがやってるんだと思うと、流石というか、なんというか。
「私には無理だなぁ。すごいや。」
「わふ?」
「なんでもないよ。ほら、フリスビー取っておいで。」
長く伸びるリードを最大限に伸ばし、私はおもちゃを投げた。
嬉しそうに走ってそれを取ってきては私の足元に置くというのを何度も繰り返す。
「嬉しそうに走るねー。ほらっ。」
今度はボールを少し遠くに放りなげる。
犬は勢いよく走り、跳ね、それをキャッチした。
「すごいすごい。おいで。」
尻尾を振り私に下に帰ってくる。
ボールを咥え、キラキラした目で私を見上げた。
「…よしよし。」
耳と耳のあいだのふわっとしたところを、指先でつんつんと撫でてやると、犬は嬉しそうに伏せをした。
「もっと?」
「わふっ!」
「ほらっ!」
そうやって何度もボールや硬いロープのようなおもちゃなどを何度も投げてやった。