第9章 笑顔の意味
「僕は江戸川コナン。よろしくね。」
「夏目めぐみです。よろしくね。コナンくん。」
私は椅子から降りて、視線を合わせ軽く握手をした。
「下の名前は偽名じゃないんだね。」
「私はあまり外に出ることないからね。」
「でないの?」
箒を片付けた安室さんがカウンターに入り、カウンター越しに私の前に立った。
「夏目は僕の助手的な仕事をしてる。」
「助手?」
「まぁ、それ以上は言えないかな。」
「…ふーん。秘密ばっかりだね公安は。」
「秘密というより、夏目のことを言うと、君のことだから夏目を欲しがりそうだ。」
「そんなすごいの?」
「僕にはかかせない。」
「へぇ。」
あの…あの上司が褒めてるっ。あの降谷さんが…。
あまりに恥ずかしくて私は赤くなった顔を見られないようカフェオレのカップで顔を隠すように飲んだ。
もう中身なんて空っぽなのに。
ーー…そんな風に思ってくれてたんだ。
「まぁ、今度きっと夏目と一緒になることもあるよ。コナンくんはいつも事件の中心にいるからね。」
「だからべつに望んで首を突っ込んでるわけじゃないってば。」
ふふっと笑う上司があまりに珍しくて、私は何も言えなかった。
「夏目。」
「はい。」
「どうする?このまま梓さんが帰ってくるのを待ってもいいが。この後行くところがあるから近くまでなら送れる。」
「いえ!送ってもらうなんて!」
降谷さんと車で2人きりはなんか無理なので私は首を振った。
「今日はどうして外に?」
「同僚の差し入れに。張り込みしてるので。」
「そうか。…この後あいてるか?」
ちょいちょいと手招きをされたので私は顔を寄せた。
コナンくんには聞かせられないようだ。
そっと耳元で安室さんが囁いた。