第9章 笑顔の意味
「くくくくっ。」
どう誤魔化してやろうかと考えていると、ポアロの扉の方から笑い声が聞こえ、私はそちらに視線向けた。
「安室さん。」
掃除が終わったのか、片手で箒を持ち、もう片方の手で自分の口元を抑え肩を震わせていた。
「あー、おかしい。夏目、君じゃあコナンくんには勝てないよ。」
「…!?」
「やっぱり公安の人なんだね。」
「あぁ、僕の部下だ。」
親しげに2人が話すのを私は眉を寄せた。
「まぁ、決定的だったのは安室さんの言葉遣いだったけどね。」
「…えっと。」
なんでゼロである降谷さんがこんな子供に公安だとバラしているのかわからなくて、どう対応していいのか困っていた。
「夏目。この子は江戸川コナンくん。上の毛利探偵事務所に住んでる子だよ。まぁ、僕の協力者…かな?」
「やだよ。」
「この幼稚園生がですか!?」
「小学一年だよ!」
「あ、ごめん。」
大して変わらん。
が、たしかにそこらへんの大人より頭が回りそうだ。
降谷さんがあんな顔で話してる。
“安室”ではなく降谷さんがにこやかに…
それだけこの子を信頼しているってことなんだろうな。
ーー…何者なんだろうか。
「安室さんが公安ってことを知ってるってことは、七瀬…いや夏目さんも風見さんと同じような人?」
「あぁそうだよ。僕の優秀な部下だ。」
「…っ。」
ゆ、優秀…。
不意にそんなことを言われ、嬉しくて私は下唇をぎゅっと噛んだ。
「色々事件に首を突っ込むコナンくんだから、また夏目とは会うことになると思う。」
「別に好んで突っ込んでるわけじゃないよ。僕、女性の公安の人初めて見たよ。」
2人が話をしているのを私は黙って聞いていた。
降谷さんがなんだかいつもと違う気がして、少しドキドキした。