第6章 素直に
「こんばんは、めぐみさん。」
「…!?」
お洒落な若者風の装い、さらっと着こなすジーパンに、にこにこと笑顔の上司が私に手を振り駆け寄ってきた。
「…え、あ…安室さん。」
「はい。安室です。今日はよろしくお願いしますね。」
「…えー、はい。」
「他の方はまだですか?」
「みたいですね。」
にこにこにこにこ
ずっと笑顔で話しかけてくる上司に鳥肌が止まらない。
そうか。
降谷さんが知らない人と合コンなんてするわけがない。
安室さんでくることなんて考えたらわかることだったのだ。
「今日の服装も素敵ですね。めぐみさん。」
「ひっ。」
降谷さん以上にやだ!
いや、降谷さんを知ってるから無理なんだ!
くくくっと笑う安室さんは一歩私に近づいた。
「“ひっ”はないでしょう、めぐみさん。」
「ご、ごめんなさい。」
ポアロの時もそうだったが、普段まったく笑わず仕事をしている降谷さんしか見ることがないから、安室さんにどう接していいのかわからない。
全く別の人物として接すればいいのだろうが…。
『ちっ、夏目っ!』
と、怒鳴る降谷さんが頭にチラついて安室さんが少し怖い。
…ていうか、名前で呼ばれてる。
安室さんは人の名前を下で呼ぶタイプなのか。
しばらくすると全員が店の前に集まった。
ふわふわ女子、みーたん以外は私の仕込みだ。
ちなみにみーたんは本当の名前はみなみというらしい。
「みんなからは、みなみのこと『みーたん』って呼ばれてるからぜひみーたんって呼んでください♡」
コテンと小首を傾げながら自己紹介していた。ハートが飛び交ってた。