第45章 二人の時間
そして覆い被さる降谷さんの両頬に私は手を伸ばした。
「そんな風に笑うのも初めて見ました。」
降谷さんは少し目を開いた。
「そう…だったか?昔はよく笑ってたんだが。」
優しく微笑んだり、笑顔を浮かべたりはすることはあっても、声を上げて楽しそうに笑う降谷さんは見たことがない。
「仕事中は…そんなに笑わないだろ。」
「私は、笑いますよ?」
「いつからだろうな…。」
降谷さんは考えながら、頬に触れていた私の手を握りしめた。
「きっと責任が増えた時からだろうな。」
昇給し、今の立場になり、部下が増え、私には想像もできない苦労や責任を背負っているに違いない。
『昔はよく笑ってたんだが。』
諸伏捜査官やじんぺーくんがいた時のことだろうか。
彼の銃弾を大切に持ち歩くくらいの関係だったのだから、きっと仲が良かったに違いない。
それに同期だったというじんぺーくん。
プライベートでも会っていたのかな…。
ーー…私の前でももっと笑ってもらいたいな。
彼らと同じような関係になりたいとは言わないけれど、私といる間は仕事を忘れて笑い合える関係になりたいー…。
私は私の上に覆い被さる降谷さんの首に手を回し、ぐっと引き寄せた。
「今日は…たくさん……。抱いてください。」
降谷さんが好きすぎてどうにかなってしまいそう。
降谷さんの唇にそっと自分の唇を押し付けると、降谷さんもふわりと笑ってくれた。
「あぁ。やっぱり二箱じゃ足りなかったか?」
「…それは多いです。」
勘弁してくれ、体力お化け。