第45章 二人の時間
ひぃひぃ言いながら、机の仕事をしていると風見さんがみんなに話しかけた。
「久しぶりの復帰なんだ、あまり夏目ばかりいじめてやるなよ。“警視”なんて上司に言われたら言うこと聞かざるを得ないだろう。」
「…か、かざみさぁん。」
優しい。
私たちは降谷さんの直属ではあるけれど、表向きは風見班で、風見さんはその班長なのだ。
流石だ。
「そうですよ。めぐみさんがかわいそうです。」
「影くん。」
私を庇うようにいう影くんと風見さん。
「影くんもありがとうね。」
「いえ。僕はめぐみさんの実家の状況を明かして、如月の犯罪を暴き出したり、色々ハッキングしたので…。」
「そ、そうなんだ。」
なんか、うちの状況が筒抜けなのは少し恥ずかしい気もするが、そのおかげで助かったのだ。
「なので、デート一回でいいですよ。」
にっこり笑う影くんは相変わらずだった。
「ダメだ。」
急にドアを開けて入ってきたのは、降谷さんだった。
「この前一回しただろう。もうダメだ。」
「ふ、降谷さんっ。」
じとりと影くんを睨みつけ、降谷さんは自分の机の荷物をまとめ始めた。
「めぐみ。帰るぞ。」
「えっ!?」
“めぐみ”!?
みんなの前ではいつも“夏目”って呼んでいたのに!?
「あ、でもまだ仕事が…」
「明日に回せばいい。」
スーツの上着を着る降谷さんに、私は慌ててパソコンを閉じたり、机の書類を片付けたりした。
…もう降谷さんはみんなの前で隠す必要がないから?
でも仕事とプライベートはわけると思ったのに。
「あっ。でも家…!」
警察を辞めたと思って、引き払ったのだ。
前の家には帰れないし、実家は少し遠い。
「今日は僕の家に来ればいい。ほら、行くぞ。」
「へっ…!え?…ま、待ってください!」
お疲れ様でした!と、急いでみんなに挨拶をすると私は先を行く降谷さんの背中を追いかけた。