第6章 素直に
「今度。」
「は、はいっ!」
ぼーっと考え込んでいて急に話しかけられて私は声がうわずってしまった。
「夏目の食事会、ちゃんとそんな風にきちんとしてこいよ。」
「…え?スーツのつもりだったんですが。」
「そんな堅苦しいのやめてくれ。合コン開いてくれると言ったのは夏目だろう?」
「…わかりました。」
駅前について私は助手席のドアを開けた。
「じゃあ、頼んだ。」
「はい、ありがとうございました。」
さっさと去っていく上司の車を見つめながら眉を寄せた。
「やだなー…。」
あんな笑いもしない、顔だけの人と合コンしても、女の子楽しくないんじゃないだろうか。
連れて行って威圧的な態度に女の子が怖がったらどうしよう。
…面食いの女の子を連れてきた方がいいかもしれない。
男の子はなるべく明るい男の子を呼んだ方が…いや、そうなると上司が主役じゃなくなる。いや、でも顔がいいから主役になる…?
「うーーーん。」
上司を癒してくれる彼女をつくるのは難しい。
「そもそも降谷さんのタイプ知らないじゃん。」
私は悩みながら、高橋の待つお店に足を向けた。
上司のことばっかり悩んでても仕方ないので、今日は合コンを楽しまない。と、私は髪の毛をささっと治した。
小さな鏡で顔もチェックして。
「いざ尋常に勝負じゃっ。」
気合を入れて私は合コンに挑んだ。
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「で、昨日の手答えどうだった?」
次の日、出勤してきた高橋に聞かれ、私はため息をついた。
「ぜーんぜん。会話も楽しいしお酒も美味しかったけど、彼氏とは違うかな。」
「そうだな。今日女の子に猛者がいたからあの子に全部持ってかれたな。」
くくっと笑いながら高橋が言った。
可愛くて儚くて、男の子を持ち上げるトーク力も、女子力もすごい女の子がいたのだ。
男たちはみんなその子を持ち帰りたくて仕方ないようだった。