第44章 うちの上司は
降谷さんに触れられた頭が一気に熱くなった気がした。
降谷さんから私の携帯を受け取ると、それをポケットにしまった。
「それにしても、如月を挑発するためとはいえ、結婚の挨拶なんて降谷さんも人が悪いですね。うちの両親に誤魔化すの大変だったんですよ。」
「…挑発?」
「まぁ、おかげで如月も無理して先に話を進めようとしたので、良かったのかもしれませんが…。心臓に悪いです。」
ごっ!
「いったい!」
降谷さんの拳が上から落ちてきて私は自分の頭頂部に手を当てた。
「挑発じゃない。あとからちゃんとめぐみの両親にも話をする予定だった。」
「……へ?」
「最初にご両親に言った言葉は本当だ。」
「……え、いやでも、それは流石に。」
付き合ってそんな経ってないし、プライベートで会うこともあまりないし、上司である降谷さんしか私まだしらない。
それに…
「降谷さんから一度も好きって言ってもらったことありません。」
そう言うと、一気に降谷さんの表情が変わった。
「…いまさらだろ。」
ふいっと視線を逸らす降谷さんに私は声を荒げた。
「ダメですっ!許しません!」
ぎゅっと降谷さんの両手首を掴みしたからじっと降谷さんの目を見つめた。
言葉で言わなくてもわかるだろ。は、これからも降谷さんと一緒にいたいからこそダメだと伝えたい。
「私は降谷さんが好きです!尊敬だってしてるし、これから先もずっとずっと一緒に働きたいし、そばにいたいです!」
「…っ。」
降谷さんは私の勢いに押されたのか、一歩後ろに下がった。