第43章 どっち
降谷さんと見合っていると、私の後ろにいた如月が小さな声で話し出した。
「…警察…?許可しない…?お前警察官か。」
少し低くなった声で如月は降谷さんを睨みつけた。
「そうだ。僕がここにいる理由も両親がここに来ない理由もよくわかっているんだろう。」
降谷さんは腰の後ろからカチャリと手錠を取り出そうとしていた。
庭の狭い通路で、ゆっくりと如月に向かって歩み出すと、如月は私の方に向かって急に走り出し、私の肩を思いっきり押して来た。
「きゃっ!」
いつもならこんな男、投げ飛ばすか蹴り飛ばすかしてやるところだが、私は今着物姿だ。
私の真後ろにいた降谷さんにもたれるようによろめいてしまった。
「あっ。」
降谷さんの声と同時に、ぽちゃんと何かが池に落ちる音がした。
私がぶつかってしまったせいで、手に持っていた手錠が横の池に落ちたようだった。
「…あ。」
「は、ははっ!これで僕を逮捕できないっ!」
そう言って如月は建物に向かって走り出した。
「待てっ!めぐみ!あいつを止めろ!」
降谷さんは私の後ろで大声をあげたが、着物姿の私にどうしろと言うのか。
「そんなこと言われても…!あー!もうっ!」
私は草履を脱ぎ、手で思いっきり如月に向かって投げつけた。
袴姿の如月はそんなに早く走ることも出来ず、バサバサと大股で走る袴の辺りに草履が絡まるようにあたり、バランスを崩した如月はそれは盛大に顔面から転倒した。
「よくやった!めぐみ、これ借りるぞ!」
そう言って、降谷さんは私の帯の中心にある帯締めに手を伸ばしたので、私は慌てて彼の手をはたいた。