第43章 どっち
自分の恋愛面ではなーーーんにも言わないくせに、そういうことだけは真っ直ぐ気持ちを伝えてくれる。
「…私は………」
言葉に出そうとすると、建物の裏からガサっと音がしてそちらに視線を向けた。
そこに立っていたのは袴姿の如月奏だった。
「めぐみさんっ!ここにいたんだね!」
「ぅ……」
拒否感が出て、半歩、降谷さんの方に下がってしまった。
「早くに君に会いたくて、両親より先に家を出たんだけど、うちの両親がまだ来てないみたいなんだ。連絡もつかないし…」
どうやら、如月の実家に家宅捜索が入り、自分に逮捕状が出ていることは気付いていないようだった。
「それにしてもめぐみさん、すっごく綺麗な着物姿だね。振袖かー。結婚したらもう着れないからこれが最後の振袖だ。凄く美しい姿だ。」
褒められているのにぞわぞわとしてしまった。
引いているのに気付いてくれた降谷さんが後ろから私の肩を支えてくれた。
「おや?君は?」
降谷さんは如月の問いには答えなかった。
如月はそれに特に気にすることなく話を進めていった。
「うちの両親がまだ来ていないけど、もう先に始めてしまおうか。きっと仕事で来られなくなったんだと思う。」
一歩一歩近づいてくる如月。
「将来のことを考えると、さっさと籍を入れてしまおう。そうだ、今日結納終わったら二人で役所に行ってもいい。」
「……。」
如月は知ってる。
「めぐみさん。はやく僕と結婚しよう。」
両親が逮捕されていることを知ってる。
だから、焦って入籍してしまおうとしてるんだ。
私はぎゅっと手を握りしめた。