第43章 どっち
「めぐみの両親の前で伝えるのは、酷かと思って伏せておいたが…。如月建設には今風見たちが家宅捜索に入って、まもなく如月奏の父である社長は逮捕されるだろう。」
「…。」
私も…騙されていたんだ……。
「元警察官のくせに…情けないですね。」
「昔からよく知る人物の犯罪には気付かないことが多い。仕方ない。」
「…如月奏も?」
「あぁ、めぐみに好意を持ってはいたようだが、両親の企みに加担している。あんなやつと結婚するくらいなら僕の方がいいだろ。」
「……。」
腕を組み、ため息をつく降谷さんを私はじとりと睨みつけた。
「なんだ。僕に不満か?」
「……。」
自信満々な人。
「……なんだその顔は。」
私は着物姿でじーーーっと降谷さんを見つめた。
「結婚なんてしませんよ。」
「はぁ?なんでだ。」
「…なんでって。」
私は降谷さんを上から下まで視線を動かした。
容姿端麗。すごく端麗。
仕事もできる。
意外とたまにちょっとだけ優しい。
料理もできる。
何より、ひたむきなあなたが、
ーー…すごく好き。
「ハロがいるからか?」
「違います。」
「やっぱり…如月奏の方がーー?」
はぁぁぁぁ。っと大きなため息。
「ほんっとーーに、うちの上司は…いや、今は上司じゃないか。」
上司じゃないってことはそんなヘコヘコ頭も下げなくていいってこと?
「今日、詐欺のことを知らせてくださって本当に…ほんっとーに感謝してます。両親に気遣ってくださったことも。」
降谷さんが来なかったらどうなっていたか想像しただけでゾッとする。
ーー…だけど。
「それとこれとは関係ないですっ。」
「不満もなく感謝してるなら…」
「そうじゃなく!」
「…なんだ。」
「一回でも私に好きとか結婚してくれとか言ったことないくせに、結婚できると思わないでくだ……いや、思うな!ばかっ!」