第43章 どっち
私はこの何もわからない状況が嫌で意を決して、身を乗り出した。
「あ、あのっ、降谷さん。ちょっと二人で話がしたいです!先に!」
すると降谷さんはにっこり笑って頷いてくれた。
「ごめん、母さん。ちょっと庭で話してくるね。」
「はいはい。ちゃんとあとで話しなさいよ。如月さんのことも。如月さんには失礼なことはないようにしなくちゃいけないんだから。」
「わかってる。」
父にも了承を得て、私は降谷さんと部屋を出た。
今は工事のために立ち入ることできないようにしてる庭園に、私たちは来た。
自慢の日本庭園だった。
ブルーシートが見えるせいで外観は損なわれているが、池には錦鯉もいるし、紅葉に桜にと、四季を楽しめる庭園だ。
「…あの……」
石畳の道を歩く降谷さんに後ろから話しかけた。
降谷さんがこちらに振り返った。
先程両親の前の時の柔らかな表情とは裏腹に、いつもの降谷さんの顔だった。
「まったく。手間のかかる。」
「…。」
ーーー…いつもの降谷さんだ。
「な、なんで来たんですか。」
「何を言ってる。このままあの詐欺師と結婚したかったのか。」
「…さ、ぎ…?」
「そうだ。」
「両親を騙したのは如月建設じゃなく、はじめに依頼した消えた建設会社のはず…。」
「それが如月だったんだ。」
私は頭でぐるぐる考えた。
なぜわざわざ架空の会社を作る必要があった?
弱ったところに付け入るため?
「増改築を格安でやったら、如月建設も利益がないんじゃないですか?」
「最終目的はめぐみと結婚だ。」
「…え?」
「結婚してこの旅館を乗っ取るのが目的だったんだ。」