第42章 元上司 降谷零の謀略
部下たちの熱につい笑みが溢れた。
「わかった。…実はこの男を殴ってやりたいと思ってたんだ。」
僕は再び風見の手にある如月奏の写真を握りつぶした。
「じゃあ、明日…乗り込むか。」
「わかりました。では逮捕状を請求しておきます。」
「あぁ、頼んだ風見。」
僕は写真を再びゴミ箱に放り込むと、机の上の作業着を手にした。
めぐみの旅館を出入りしているという業者の制服だ。
「今日、現場を確認しておきたい。高橋、影月、来れるか?」
「準備します。」
僕も立ち上がり、上着を脱ぐとローラが用意した作業着に袖を通した。
念のため黒髪のウィッグを被り、その上から帽子を被った。
「僕は車の中からサポートしますね。」
ノートパソコンをカバンに入れていく影月と、僕と同じ作業着を着た高橋と3人。
「よし。偵察に行くか。」
■□■□■
東京からさほど遠くない温泉街。
そこの奥に佇む迫力ある旅館。
「ーー…思ってた以上の旅館だな。」
近くの駐車場に停め、見上げるめぐみの実家はここあたりでおそらくトップクラスの高級旅館であろう。
「ですね。それじゃ僕はすでにハッキングしてある監視カメラで見て、めぐみさんの場所を報告しますね。」
後部座席に座ったまま影月が言った。
「頼んだ、影月。よし、高橋。行くぞ。夏目にばれるなよ。」
「はい。」
今、バレてしまっては如月の逮捕にこぎつけないかもしれない。今日はただ、視察に来ただけ。
僕は帽子のつばを掴み、グッと深く被り直した。