第37章 本音
私は母と自宅の和室に向かった。
旅館の敷地とは別に、奥にある自宅は純和風の住宅で、地元でも大きい方である。
代々頑張って旅館を大きくしていったおかげだろう。
従業員もたくさんかかえ、全国から旅行者がくるくらい大きな旅館だ。
両親が大切にしてるのがよくわかる。
和室に入り、大きな机の前に二人で正座した。
母の雰囲気からして何か重要な話なのだろう。
「旅館の経営がね……危ないのよ。」
「へ?」
こんな盛況していて、大きな旅館が?
にわかには信じられなかった。
「西側の建物がだいぶん老朽化したでしょう?」
「うん。」
「それでね、お父さんが改装しようととある建築会社に改装をお願いしたの。」
「…うん。」
「この田舎は土地が広いから、西側をさらに大きく広げて客室も増やそうって話になって、建物も強化しようって…。」
「…う、うん。」
だんだんと肩が丸く頭が沈んでいく母。
嫌な予感しかしない。
「話が盛り上がっていってね、その建築会社に頼むのに改装費用や、ぜーーんぶお金払っちゃってね。」
「……。」
「西側の建物を少し解体したところで、そのお金もって、その会社消えちゃったの。」
「はぁぁぁ。契約書は。」
イライラとしながら母に聞くと、母は首を振った。
「あるにはあるけど、電話番号も住所も名前も全部何もかもデタラメだったの…。」
「はぁぁぁ。」
2回目の大きな大きなため息。
「んで?それで私の結婚と何が関係あるのよ。」
「…如月さんところの子と結婚して、後継にしてくれるなら、破格の金額で西側の建物を直してくれるって…。」