第36章 上司 降谷零の力
『潜入先の任務で海外に行かなくてはならない。約束したのに悪い。帰ってきたらまた連絡する。恐らく向こうでは連絡出来ないと思う。』
これは、僕がイタリアにベルモットと行く直前にめぐみに送ったメールだ。
それに対してめぐみからはすぐに返事が来た。
『わかりました。どうかお気をつけて。頑張ってくださいね。』
この文章からは何も読み取れない。
帰国してすぐに『帰ってきた。今から本庁に向かう。』と簡素なメールをめぐみに送ったが…。
「既読がついていないな。」
「夏目に連絡を?」
「あぁ。しかし既読にならない。」
ーー…どうか、お気をつけて。
これが海外任務への言葉ではなく、最後の別れの言葉だったとでも言うのだろうか。
「何か夏目が担当していた事件があったか?」
「いえ。今は特にありませんでした。今は彼女のサポートに頼っていたので、そちらを任せていました。」
じゃあ、何かに巻き込まれた可能性も低い。
「彼女が僕に何も言わずに辞めるとは思えない。」
「…言いずらかったたのかもしれませんよ?」
それはない。
上司と部下だけの関係じゃない、彼女とは恋人同士だ。
ーー…恋人関係も断つということか。
「そんなの許すはずがない。」
「…。」
僕は持っている携帯を握りしめ、めぐみが辞めるに至った原因に何があるかを考えた。