第36章 上司 降谷零の力
風見は急いで立ち上がり、僕の横に来た。
「すみません、降谷さん!作り直します!」
「いや、別にこれでも構わないんだが…。風見が作ったのか?」
手元の捜査資料を目を通していく。
悪いわけではない。書体がめぐみが使用しているものでないし、やはり、もっと詳しく全容が見えるのはめぐみが作った資料だ。
「はい…。それは自分が。もう一つは高橋が作りました。今まで夏目に任せっきりだったのがよくわかりました。」
「夏目はどうした。」
「…は?」
なぜ、めぐみが作らず二人が作ったのか。
めぐみも出張か何か行かされてるのか、潜入…という報告は受けてはないが…。
横に立つ風見を見上げると、風見は眉を寄せた。
「夏目は退職しましたが…。」
「………は?」
「えっ!?夏目は降谷さんには報告済みだと!」
「…知らない。」
どういうことだ。
退職?
パソコンからめぐみのメールや仕事のフォルダなどを確認したが、めぐみが担当していたところ全てがすでに消去されるか、他の捜査員割り振られていた。
痕跡がなにも無い。
「夏目は何と言っていた。」
スマホを取り出しながら風見に言うと、風見も慌てているようだった。
「元々辞めるつもりだったと聞きました。降谷さんには何度も相談をして、この日に辞めると…。」
「…。」
もちろんそんなやりとりはしていないし、めぐみが辞めるとは聞いたこともない。
今までのメールのやり取りを確認した。