第36章 上司 降谷零の力
怒涛の2週間だった。
ずっとベルモットと一緒にいるため、常に気を張っていないといけないし、下手に風見たちに連絡も取ることもできなかった。
「私はこのままローマで数日いるわ。貴方は?」
「僕は帰りますよ。」
「そう。それじゃあね。」
ベルモットはピラピラと手を振り、彼女が去ったのを確認すると僕はすぐさまタクシーを拾い空港へと向かった。
ーー…さっさと日本に帰りたい。
結局二週間もかかってしまった。
出国前に、風見たちに連絡をとり、めぐみにも断りを入れ、ポアロにも休みをもらった。
久しぶりの長期の任務だった。
ベルモットが変装した横でパーティーに参加したり、取引に同行したり…。
「…疲れたな。」
ふと、思い出したのはめぐみの日本の家庭料理だった。
たった二週間だというのに、あの優しい味のめぐみの手料理が無性に食べたかった。
キッチンに立つエプロン姿のめぐみの後ろ姿を思い出しながら、飛行機の座席でそっと目を閉じた。
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「おかえりなさいませ、降谷さん。お疲れ様でした。」
「あぁ。」
返って荷物置いたその足でまずは警視庁に向かった。
二週間分の報告書には目を通しておきたかった。
執務室には風見だけで、他の捜査員は出払っているようだった。
さほど僕が動かなくてはいけないようなことはなかったようだ。
サラッと報告書に目を通し、捜査資料にも手を伸ばした。
「……?」
ふたつの事案の資料をパラパラと見ていき、違和感を覚えた。
僕の様子に気がついた風見は不安そうに僕を見つめていた。
ーー…めぐみが作った資料じゃない。