第34章 上司 降谷零の疑心
めぐみの様子を上司の僕がわざわざ見にいくとか、そういうわけじゃない。
…昼食を買いに出ただけだ。
そのついでにちょっと様子を見るだけ。
もしかしたら本当に風邪なのかもしれない。
途中コンビニに寄り、自分の昼食と飲み物をいくつか買って、めぐみのマンションの前に来た。
インターホンを鳴らすが反応はない。
持っている合鍵で入ってもいいが、そこまでプライベートに踏み込むつもりはないので、思いとどまった。
家の中に人の気配はなく、今日の休みは本当に何か用事で休んでいるようだった。
『結婚は全く考えてません』
その言葉が僕に向けてだとしたら…?
ゼロである僕とは結婚はできないという意味かもしれない。
普通の男性と恋人になったら、めぐみは結婚を考えるのだろうか。
考えたって仕方ないことをもやもやと、考え込んでしまう。
だからといって、めぐみに“僕と結婚とか考えているか”と本人に直接聞いたら、それこそプロポーズと同じじゃないか。
それに、聞いたとして拒否されたり、気まずそうにされたら…耐えられない。
適当な駐車場にとめて、コンビニで買ったおにぎりを取り出しかじりついた。
めぐみのことばかり考え込んでしまっている自分がなんとなく変な感じがした。
以前は休憩中にだって、組織のことや、やらなくてはならないことばかり考えていたのに、今はめぐみのことばかりだ。
うつつを抜かす。ーー…とまではいかないが、しっかりしなくてはと、お茶に口をつけた。
「…ん?」
ふと、外を見ると、広い公園の中を歩く2人の男女。
あの背格好はーー…
「…めぐみ?」
パンツスーツとはまったく正反対のロングスカート。
優しい感じの服装で、横を歩く男性にピッタリと横をつけ歩いていた。
「…誰だ。」