第34章 上司 降谷零の疑心
部下に渡された捜査資料に目を通していく。
昨日はポアロの閉店までのシフトでその後ベルモットの付き添いだった。
ーー…ふぅ。
口には出さないが、胸の奥で小さくため息をついた。
『結婚は全く考えてません。』
もや。
別に今すぐに結婚しろ、とか考えているわけじゃない。
だけど、僕との将来は何も考えていないと言われているようだった。
あいつは仕事人間で好きだと言われたら、付き合うタイプだ。
今までの彼氏のことを聞いてもそうだったんだろう。
(松田とはどうだったのか知らないが。松田がめぐみに告白するとは思えない。)
その歴代の適当な彼氏の1人だというのか。
イライライライラ
「…さん。」
「くそ。」
「降谷さんっ!」
「…っ。あ、あぁ、風見か。どうした。」
横に風見が立っていることにすら気付かなかった。
風見が何か資料を持って、心配そうに眉を寄せ僕を見ていた。
「上の空とは珍しいですね。体調でも崩されましたか?」
「上の空というわけじゃない。ちょっと考え事だ。」
「そうですか…。」
そう言って風見が資料を差し出したので、それを受け取った。
「大丈夫ですか?」
「何もない。」
「今日は夏目も休みをとっているみたいですし、もしかしたら風邪が流行っているんでしょうか。」
「…何?」
休みをとってる?
そう言えば朝からいないな。といっても、僕はさっき来庁したばかりなのだが。
「夏目が風邪なのかどうかまでは知りませんが、今日は休みだと聞いてます。」
「…夏目が。」
「それに……、……も……ます…。」
風見が何か世間話をしているようだったが、もう頭に入ってこなかった。
気がついたら上着をきて、執務室から出ていた。