第34章 上司 降谷零の疑心
一瞬めぐみの弟の可能性も考えたが、めぐみの弟は僕よりも背が高かったはずだ。
今めぐみの横にいる男は弟ではない。
ーー…じゃあ誰だ?
「…私服かわいいな。」
潜入のためや,ポアロに来た時の服装とはまた違う、完全プライベートのお出かけの服は……初めて見る。
そう。初めて。
僕ではない他の違う男といる可愛い姿のめぐみ。
残り最後の少し大きいおにぎりを口に無理矢理放り込み、僕は車から降りた。
めぐみも公安だ。気配には敏感のはず。
なるべく離れたところからそっと盗み見る。
男の方はめぐみとほぼ同じくらいの背格好で、黒髪。
バケットハットをかぶってるせいで、髪は見えても、後ろからは顔は見ることはできなかった。
男もおしゃれだった。
後ろからみれば、普通にデートだ。
「僕もしたことない。」
忙しくて食事くらいしか連れて行ってやれてない僕には、楽しそうに会話をしながら街を歩くめぐみの笑顔を見たことがなかった。