第34章 上司 降谷零の疑心
ポアロでの一件以来、またさらに僕たちの距離は近くなった気がする。
出来もしない願望をめぐみに伝えることで、めぐみ自身に負担をかけてしまいそうで、僕は口に出すことは出来なかったが、めぐみとこれから先も共にいたいという気持ちに、偽りはなかった。
梓さんと一緒になって、僕のデタラメ話をしていたことに対してめぐみを問い詰めてやっても良かったが、
遠慮がちに『降谷さんと旅行に行ったりしたい。』と少し素直になっためぐみが見れたから、そのことに追求することはやめておいた。
しかし、ずっとめぐみの言葉で引っかかっていることがあるーー…。
ポアロで僕が外にいる時に、梓さんの問いに答えていためぐみの言葉。
『結婚は全く考えてません。』
『結婚をしようと考えたことがない。』
梓さんとの会話で聞こえてきためぐみの結婚に対する考え。
“安室”に向かって放った言葉なのかもしれないが、あまりにはっきりと言っていたから気になっていたのだ。
確かにまだ恋人関係になったばかりだ。
僕自身、仕事のことばかりで結婚のことなど深く考えていない。
ーー…考えていない。というよりも、交際が発展したら自然と結婚など、お互いに将来を思い描いていくものだと思っていた。
なのに…
『結婚は全く考えてません。』
お互い今結婚できる状況でないことくらいわかってる。
しかし、あんなはっきりと言われると、じゃあ何故僕と恋人関係になった?と正直考えてしまうのだ。