第33章 ポアロにて
“透”なんて、2人になった今もちろん呼べるはずもなく、私はごまかすように食器を洗い続けた。
「そ、そういえば、さっき梓さんに何言ったんですか?」
「んー?なーいしょ。」
私がさっき安室さんに言った言葉をそのまま返されてしまい、私は何も言えなくなってしまった。
降谷さんが『なーいしょ』って言ってるんだと思ったら……可愛い。
食器を洗い終わり、手を拭いていると、安室さんも作業を終えたようだった。
「次は何しましょう?」
ここで仕事をしたことがない私には何をしたらいいのか全然わからない。
「床をはいてもらえるかい?」
「はーい。」
…まだ安室さんだ。
安室さんは奥から箒を持ってきたので、それを受けとり、椅子やテーブルの下をはいていった。
生ごみの処理やこまかい作業をしていく安室さんをチラチラと盗み見した。
「なんだい?」
「…っ!」
見ていたのがバレてて私は箒をぎゅっと握りしめた。
「そんなに見られると恥ずかしいじゃないか。」
にっこり笑う安室さんに心臓が跳ねた。
私は首を振った。
ーー…安室さんは苦手なんだ。