第33章 ポアロにて
安室さんがいない事をいいことに、わいのわいのと適当に有る事無い事はなしをしていたら、箒を持った安室さんが掃除を終えて、店内に戻ってきた。
「また僕のこと話してたんでしょう。」
「えへ。」
「安室さんの意外な一面聞いちゃってました。彼女さんに対しては本当に素敵な彼氏なんですね!安室さんは!」
「…やだな。何を梓さんに言ったんです?」
「なーいしょ。」
「ねー、めぐみさん。」
「ねー。」
「いつのまにか、お二人仲良くなって…。羨ましいですね。」
ちょっと困った感じに言う安室さんもなんだか可愛くて、違う一面を見れて嬉しかった。
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「今日はありがとうございました!」
ほんの二時間ほどの食事会だった。
食事会というよりも、テーブルに並べた料理をマスターやマスターのお友達たちが立ったまま食べたり飲んだりしてるだけで、私はそのお皿を片付けたり、飲み物を運んだりするだけで、難しくはなかった。
友人たちが帰って行き、食器を洗っていると、梓さんが私の横に立ってお礼をいった。
「ううん。大したことはしてないから。みなさん楽しそうにされてて良かったです。」
「めぐみさんいなかったら安室さん1人だったから!本当に来てくれてありがとうございました。」
にこにこ笑う梓さんは太陽みたいな人だなーって、そんなことを思った。
ここで働く安室さんはこの明るい梓さんに癒されているのかもしれない。
「あっ、安室さーん!」
梓さんは、机を片付けている安室さんの方に向かい、私はその後ろ姿を見つめた。
普段見せることのない笑顔で梓さんと話をする安室さん。
ーー…安室さんのこと苦手だと思ってたのに。