第33章 ポアロにて
安室さんと降谷さんは確かに同じ人で、顔だってもちろん同じではあるけれど、
私の恋人はあくまで降谷さんだ。
梓さんが違う場所で作業を始めたのを確認して私はサンドイッチを作っている安室さんに近づいた。
「先に言ってくださいよ。」
彼の腕の真横でこそっと話しかけた。
「何がだい?」
「…安室さんと恋人設定でいくとか。」
「ふふ。反応を見たくて。」
「…安室さんはやっぱり。」
ーー…なんかいや。
「やっぱり?」
「なんでもありません。」
ふふって安室さんが笑うとぞわっとする。
腹黒そうで、なに考えてるのか全然想像できない。
といっても、降谷さんにしてもなに考えてるのかわかってないのだけれど。
ふーっとため息をついて私は安室さんが作っていった、サンドイッチもお皿に盛り付けていった。
反応が見たかったのなら、とことんそれにノッてやろうじゃないか。
私はふとしたイタズラを思いついて急に楽しくなって来た。
「透さん。」
「んんっ。」
「このサンドイッチどこ置いたらいい?」
「…とりあえずあっちのテーブルにまとめて置いておいてくれるかい?」
ピクリと肩が揺れたのを見て私はにっこりと微笑みかけた。
タメ口で話するのは少し心臓に悪い。
「安室さんが下の名前で呼ばれてるの初めて聞いたから何だか新鮮ですね!」
「私も最近やっと呼べるようになったんです。ね?透さん。」
「えぇ。」
梓さんは何故か頬を染め嬉しそうに私たちを見た。
「安室さんのプライベートとかそういったこと本当に謎で人間関係とかも不思議だったんですよね!なんだか、人間らしい一面を見れた気がします。」
「家では甘えん坊なんですよ。ね、透さん。」
「きゃーっ!」
「や、やだな。めぐみさん。恥ずかしいのでそう言った事は内緒に。」
ふふ。動揺してる。動揺してる。