第33章 ポアロにて
梓さんに言われた通り、安室さんが作った美味しそうな料理10人前をお皿に飾り付けて行った。
「すごーい、めぐみさん。センスありますね!」
「そうですか?お料理を出すバイトをしたことがあるからかな?」
実家の旅館で盛り付けとかのお手伝いくらいならしたことがあった。
「めぐみさんはお料理もお上手なんですよ。」
「へぇ!……って、安室さん。めぐみさんの手料理を食べたんですか?」
「えぇ。まぁ。」
フライパンを洗いながら安室さんがにっこりと笑った。
またそんなギリギリなことを言う。
「めぐみさんってじゃあ、警視庁で働いてる公務員さんってことですよね?」
「そうですね。」
「……副業って大丈夫でした?このせいで怒られたりしません?」
心配そうに梓さんに聞かれ、私は笑顔で頷いた。
心配してくれるなんて優しい人だ。
「大丈夫ですよ。休みの日にバイトじゃなくただのお手伝いとして来てますから。」
「えっ!?だめです!無償はだめ!」
お店からバイト代をもらう事はない。と伝えると途端梓さんは首を振った。
すると、安室さんが梓さんと私の間に入って来て、一緒に盛り付けをやり始めた。
「安心してください、梓さん。僕から個人的にちゃんとお支払いしますから。」
こそっと渡します。と、安室さんがイタズラっぽく笑って言うと梓さんは安心したようだった。
やった。お小遣いもらえる。
ミニトマトを並べながら、貰ったお金で何買おうか考えていると、梓さんがじっと私と安室さんを見比べ始めた。
「…?」
「お二人って……もしかして。」
「えぇ。お付き合いさせてもらってます。」
ーーー…えっ?
あっけらかんと言う安室さんの横顔を私は見上げるしかできなかった。