第33章 ポアロにて
次の日朝早く、“安室さん”の車に乗ってポアロにやって来た。
「すみません。急にお手伝いお願いしちゃって。私榎本梓といいます。」
「夏目めぐみです。まったくわからない状態できたので色々教えてください。」
「…めぐみ…さん?」
どきり。
流石に無理があっただろうか。
彼女とはウィッグと眼鏡の変装でここにお客として来たことがある。
「あの“めぐみさん”と似てますよね?僕もびっくりしちゃって。」
「私に似てる人がいらっしゃるんですね!」
あははーっと笑って誤魔化したら、梓さんと意外と信じてくれたようだった。
「めぐみさんは警視庁で事務をされてる方なんですよ。僕は探偵という職業柄、警視庁に行くことが多いですから。そこで知り合ったんです。」
「へぇ!お願いしますね、めぐみさん!」
「はい。お願いします。」
右手を包帯で巻いて吊るしている梓さんは昨日捻挫をしたらしい。
今日は梓さんに色々教えてもらいながら、お手伝いをする予定だ。
「じゃあ、上のお皿を全部下ろしてもらって、並べてもらっていいですか?」
「はい。」
安室さんは料理を担当するようで、私は言われたことをやっていった。
「それにしてもこんな昼から結婚式の二次会ですか?」
私が質問をすると、梓さんが指を顎に起き答えた。
「なんか、結婚式はもう終わってるみたいですよ?」
「そうなんですね。」
「ぜーんぶ終わったからその打ち上げみたいな感じで集まって最後にお話しするみたい。」
「仲良しなんですね。そういうの羨ましい。」
「本当ですね。私が怪我しちゃってマスターも延期にって言ってたんですけど、めぐみさんが来てくださってよかった。」
私はお皿を並べながら、梓さんににっこりと笑った。
安室さんがここで心地よく働くためには必要なことだったんだろう。
役に立てたのならよかった。
ーー…出来れば、昨日早く寝たかったけれど。