第5章 デート
…残業してでもって。
「合コンは無理そうだな。」
「うーーーっ!」
鬼上司っ!
降谷さんが部屋から出て行ったその扉に向かって中指を立ててやりたくなるくらい腹が立つっ!
「ひとつ仕事終わった!」
「…早いな。」
いくら早く終わらせたからって手は抜かない!
風見さんに頼まれていた仕事を終わらせてデータを送るとすぐに降谷さんの仕事に取り掛かった。
過去の事件と照らし合わせて、簡略化してまとめるーー…。
簡単に言うけど、過去の事件は資料室に行かないといけないし、それをただ出して見せるだけなら誰でもできる。
降谷さんが知りたいことを分かりやすくまとめないと、やったことにはならないだろう。
当時の担当した刑事の日報やらも見たほうがいいかもしれない。
「残業……合コン…、癒しの彼氏ーー…。」
「どんまい。まぁ、時間合えばくればいいよ。」
そう言うなら手伝ってくれよ!と思いながら私はパソコンの画面に映る、降谷さんからのメールを頭に叩き込んだ。
「…そういえばさ、降谷さん着替えてたよね。」
「ん?あー、あれバーボンの格好だよ。」
「それって、例の?」
「そう。もう何年も潜入してる。幹部まで行ったんだぜ?すげーよな。」
世界で暗躍する組織の幹部となれば並大抵の努力じゃ難しいだろう。
「…ふーん。」
さっと切り替えて色んな仕事をこなしていく上司。
「…資料室行ってくる。」
「今から?もう定時過ぎてんじゃん。」
「降谷さんから頼まれたのあるから。」
降谷さんには定時とかもなく、今バーボンとやらになって仕事をしてるんだろう。
「…仕方ないから私も仕事するよ。」
「悪いけど俺はデートだから。」
「はっ?合コンは?」
「それも今度行く。今日のデート相手はまだ彼女じゃなーいの。」
「……。祈っとくね。」
「何を?」
「フラれるの。」
「俺両立できるタイプだから」
「くっ!」
私はつま先で高橋の座る椅子をちょっと蹴飛ばしてから、資料室に向かった。